



桜の森の満開の下
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4.1 • 695件の評価
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発行者による作品情報
1947(昭和22)年、『肉体』創刊号に掲載された坂口安吾の最高傑作とも称される短篇小説。山賊と妖しくも美しい残酷な女との幻想的な怪奇物語で、文芸評論家の奥野建男は「生涯に数少なくしか創造し得ぬ作品の一つ」と激賞した。満開の桜の森が不気味な鈴鹿峠に山賊が棲み付く。ある春の日、山賊は都からの旅人を襲って殺し、連れの美女を女房にした。しかし、それが恐ろしくも哀しい顛末の始まりだった……。東京大空襲の死者を桜満開の上野山で弔った際、「逃げだしたくなるような静寂がはりつめて」いた風景が、この作品のモチーフになっているとも言われる。1975(昭和50)年に篠田正浩監督で映画化(山賊・若山富三郎、女・岩下志麻)。さらに、1989(平成1)年、劇団夢の遊眠社により『贋作・桜の森の満開の下』として戯曲家された。
APPLE BOOKSのレビュー
1947年に発表された坂口安吾の代表作であり、映画化や戯曲化などさまざまな作品として再構成、再解釈され、幻想文学史に色濃く存在感を刻む作品。鈴鹿峠に住む、あるむごたらしい山賊がいた。旅人の着物や金品をはぎ取り、斬り殺すような男だったが、桜の森の花の下になぜか恐ろしさを感じていた。その日もある美しい女とその亭主をさらってきたが、亭主を殺しその女を8人目の女房にすることにした。その女は欲望の塊であり、6人の女房を殺すように指示するだけでなく、次から次へと要求が止まらない。都に住みたいというので移り住んだが、女が一番欲しいものは人間の首であった。毎日のようにさまざまな首を持って帰ってくる男と、その首で遊ぶ女。しかし、次第に男は人を殺すことにも、女の果てない欲望に応えることも飽きてしまう。そうして、山に帰りたくなった男が桜の森の下で見たものは、女の鬼と化した姿だった。幻想的で昔話のような物語の中で描かれるのは、美しさの中にある激情とグロテスクさ、そして絶対的な孤独。安吾が後のエッセイで、東京大空襲の後、死者を集めて焼いた上野の山の桜が咲き誇っていたという原風景を記している。
カスタマーレビュー
初めて読みました
星野源の「桜の森」もこれに関連した曲なのでしょうか?
桜と聞いて思い起こすおどろおどろしさを具現化した小説です。
海外のカルト映画みたいな話
完成度の高い幻想小説。無駄な箇所がなく、一気に読めた。
えぐい
夜長姫と耳男もそうだけど狂気性を描くために残酷な死を用いるのはちょっとワンパターン観する。
にしてもえぐい。その恋愛観は好き。
ラムネ氏のことの下を別テーマにして深掘りして欲しいかも。