



堕落論
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4.0 • 533件の評価
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発行者による作品情報
日本の敗戦翌年に発表され、戦争に疲弊した日本人に明日へ踏み出す指標を示した坂口安吾の代表作。「戦争に負けたから堕ちるのではなく、人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるだけだ」。これまでの古い価値観をかなぐり捨て、新たな生を切り拓くには、一度徹底して堕ちることが必要であり、「堕落」こそが本来の人間の在り方で、人間の原点であると安吾は訴える。1946(昭和21)年に『新潮』に発表されるや、国土荒廃と価値観の崩壊に戸惑う日本人に衝撃を与えた。『日本文化史観』や『教祖の文学』と並ぶ安吾の代表的評論であり、時代を超えて賛否両論が飛び交う過激さは、戦後70年以上たった今もその瑞々しさは色褪せることなく読者に訴えかけてくる。
APPLE BOOKSのレビュー
坂口安吾が戦後の日本社会に対して、人間の中に本来ある「堕落」について考察しながら、人々が生きるためにそれを選択することを肯定する『堕落論』。敗戦直後の1946年に発表され、日本人としての美徳だった道徳観を根本から覆し、若者たちを中心に勇気を与えた書としても有名。武士道や天皇制によって、日本特有の倫理観や道徳心を持ってきた日本人が戦後、堕落していった。「天皇万歳」と散ることを美徳としてきた特攻隊が生き延びて違法な闇市を開き、戦死した夫の妻が新たに恋をする。みな堕落した日本人。しかし、それは人間が人間らしく生きる堕落であって、本来の人間の姿なのだと坂口安吾は説く。制度や妄信にがんじがらめになっていた時代は終わり、これからは堕ちることで人間は救われるのだと。それはつまり、“自由になれ”ということではないだろうか。「人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのだ」と本書は締めの段落で語る。坂口が放った「生きよ堕ちよ」という言葉は、昔も今も、多くの人々の心に光を灯している。
カスタマーレビュー
責任とは
柄谷行人さんの倫理21という本を読むと
理解が深まると思うのでおすすめです。
初めての堕落論
坂口安吾の作品は初めて読んだ。日本人の歴史を大きな生き物であると捉えた視点は、なるほどた感じられた。生きていくことを堕ちていくと表現し、でも堕ちきれないとも述べている。そうして我々は死ぬまで生き続けるのだろう。
ようやく読めました
新たな戦争観を得た思い。
今の時代に読んでも確かに色褪せないキレがありました。