



黒猫
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3.8 • 290件の評価
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発行者による作品情報
世界初の推理小説と評される『モルグ街の殺人』や暗号小説の草分けとして名高い『黄金虫』を世に送り出したアメリカの作家エドガー・アラン・ポーのゴシック風恐怖小説。酒癖の悪さによって飼っていた黒猫を殺してしまった男が、ある日酒場でそっくりな黒猫を見つける。最初は可愛がっていたものの、次第に疎ましくなり、発作的に手をかけようとするが、止めに入った妻を殺してまう。地下の壁に死体を埋めたものの、警察の知るところとなり、壁を崩してみると、そこには……。1843年に『サタデー・イヴニング・ポスト』にて発表された。
APPLE BOOKSのレビュー
ミステリー小説の先駆者として知られるエドガー・アラン・ポーの代表的短編小説。ある男の恐ろしい独白により、血に染まった真実が明かされていく。酒に溺れ、お気に入りのペットだった黒猫の目をえぐり取った挙げ句、殺害してしまった男。自分がしたことへの恐れと感傷に襲われる中、彼は新たな黒猫と出会い、共に暮らし始める。しかしこの黒猫もまた一方の目をえぐり取られていたことから、男は再び胸の奥にざわつきを覚える。次第に追い詰められた男は激情にまかせて黒猫をおので殺害しようとするも、その衝動は猫をかばおうとした妻の命を奪うことになり…。どこか神秘的な黒猫の存在と、その死にまつわる不可解な現象も空恐ろしいが、それ以上に、どこまでも自分勝手で反省のない男の淡々とした語り口に戦慄する。同時に、深い闇へと落ちてゆく人間の姿に目を奪われ、読み進めずにはいられない。自分の中に眠る暗い感情を揺り起こすような力に満ちた強烈なゴシックホラー。黒猫の凛とした面影が、幻のように目に浮かぶ。
カスタマーレビュー
さすがランポー
短編ですが読み応えあり。ちょっとした電車移動がスリリングな時間に変わる。
恐怖を感じた
恐怖を感じた
復讐の神
誰も復讐からは逃れられない。これは芥川が歯車や阿呆の一生でも繰り返していたフレーズ。
欲望のままに生き、アンビバレントな闇にとらえられ、または憎悪にかられ、罪を犯すことは、ほとんど怖いことではない。
その後、やってくる復讐こそ真の恐怖を呼び起こす。その人が信じているいないに関わらず、復讐の神は必ずその人を捕らえて離さない。たとえ一生なんのバツも受けなくとも、その恐怖は死ぬまでつきまとう。
主人公は復讐の神から逃げようとしたが、その罠にかかって死刑になった。ただの猫殺し🐈⬛なら無罪だっただけに、復讐の色合いが濃くなる。
オチも上手く、物語の完成度も高い。